こどもの心理療法とはどのようなものか?

大人の心理カウンセリングや心理療法と違い、こどものカウンセリングや心理療法がどんなことをするものなのかは一般的にあまり知られていないのが現状です。そこで、今回はこどもの心理療法についてのお話です。

 

こどもの心理療法は、こどものこころの世界を自由に表現できるような環境を用意することで、こどもが安心して心理療法を受けることができる環境を整えることがとても大切です。

 

当相談室の面接室は、玩具の棚と机、こどもや家族が座る2人掛けのソファと、担当の心理士が座る1人掛けソファが入る程の小さな部屋で、人形やドールハウス、積木、ボールといった玩具、粘土や筆記用具などが用意してあります。

 

このような構造が大切なのは、大きなプレイルームで走り回ったり、飛び跳ねたりといった身体を動かすことで様々な気持ちを発散させる遊びに終始するだけでは、問題の解決にはならないと考えるからです。

 

また、週1回、同じ曜日、時間、部屋という一定の時間的・空間的な枠組みを提供することも重要です。この毎週決まった枠組みがあることによって、こどもの中でその時間と空間が自分のためにあるものだということが分かってくるようになります。この枠組みにより、心理療法の場がこどもにとっての安全基地となり、こどもが自分のこころの世界にどんな気持ちがあるのかを探索していくための支えとなるのです。

 

心理療法では、心理療法に至る経緯や動機づけがどのようなものかを確認することから始まり、それに続いて、こどもの遊びや語りや、担当する心理士との関係を通して、子どものこころの中の世界にどのような不安や空想を抱いているのかを見ていくことになります。遊びに表現されたこどもの空想や不安や怒りや寂しさなどに触れていくことで、こどもは自分の気持ちに気づき、その気持ちを言葉にしていくことが可能になっていくのです。

 

自分のこころの中にある様々な気持ちに気づき、それを言葉で表現できることが、こどもに現れている症状の改善につながっていくのです。

 

逆に言うと、こころの中にある自分の気持ちを上手く表現できなかったり、どのような気持ちがあるのかということ自体が分からないといったことが、こどもの様々な症状を引き起こす原因となっている場合がよくあります。

 

こどもの心理療法では、このようにこどものこころの世界を遊びや話を通して、こどもと一緒に考えてきます。

 

もし、何かこどもの様子を見て気になることがある場合、お気軽にご相談ください。